Screening Organon

高見澤峻介 Shunsuke Takamizawa





この度四谷未確認スタジオにて高見澤峻介による個展『Screening Organon』を開催いたします。

本展のタイトルは「Screening=上映、映写、検査/Organon=器官、臓器、オルガン」、つまり直訳すると「上映器官」を意味します。本展は「映像活動」と名付けられた高見澤の特異な表現を、明確に理解させ、体験させる契機となるでしょう。

彼の作品=器官は文字通り自律しています。例えば彼の過去作『Specter』は、ディスプレイのバックライトをアルコールランプや蝋燭の光で代用しながら、そこで発生する熱と氷水の間にペルチェ素子——温度差によって電圧を生じさせる電子部品——を挟み込むことで発電までもを行うものです。それはコンセントにプラグを刺さずに、どのような環境でもデジタルイメージを再生することを可能にします。

このように発電それ自体を表現のメディアとする特異な活動を中心に、これまで彼は電力と映像の実在性を露出させてきました。そして今回の展示で高見澤は、作品としての発電をより広範なインフラへと介入させ、接続します。その作品は、今日の社会における理由のない不安を照らす灯火となるでしょう。

布施琳太郎(キュレーション)







ここ数日、電圧計とずっと睨めっこしている。火力と冷却水の温まり具合を確認しながら、コンデンサーを刺したり抜いたり、変圧器のツマミを回している。たった3.6v、100mAを確保するための果てしなき調整である。効率化を目指すとなかなか切りがない。すぐそこにあるコンセントに刺したくもなる。

私は映像を再生するために発電を行う。画面の中の出来事に一喜一憂して、時には精神、魂までも揺さぶられてしまうことさえあるにも関わらず、現代の環境下にある映像は、よくわからない機械と複雑なインフラによって支えられている。その中で私は、自分がどれだけ映像の存在に接続することができるのかを試している。映像のための機関の解体、その一つが発電なのである。

ここで生成されているエネルギーは、確かに私の手の中にある。大切な映像を、本当の意味で自分の眼の中に入れたくて、自作の装置を作り、映像のために体を動かす。これを私は「映像活動」と呼んでいる。

高見澤峻介






開催概要
名称:高見澤峻介 個展「Screening Organon」
会期:2019年9月21日〜10月6日(土日のみオープン)
時間:14:00~20:00
会場:四谷未確認スタジオ(東京都新宿区四谷4-13-1)
入場料:500円
キュレーション:布施琳太郎
主催:四谷未確認スタジオ


レセプションパーティ 9月22日(日)18:00〜20:00




高見澤峻介 Shunsuke Takamizawa https://snsk.org/
1993年山梨生まれ。2016年 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業、2019年 同大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了

"Illuminated terminal" 2019

"Specter" 2018

"Backup" 2018

"Project Blindcam" 2017